担当:中司祉岐
社員が10人以下の小規模企業は、
社長の機嫌で会社の勢いが一気に変わることがあります。
せっかくいい物を扱っていても、常にしかめ面で、
言葉数少なく機嫌が悪い社長が真ん中にいたら、
周りのスタッフも言葉数少なく、静かに仕事をするでしょう。
出勤すると、毎日朝から社長の機嫌が悪かったら、スタッフは
やる気が失せてしまい、売上は自然と右肩下がり・・・・。
社長の態度や振る舞いで社員の仕事に対するモチベーションは大きく左右されます。
そのため、どんなに経営上心配事や悩みがあったり、
うまくいかないことが続いていても、
社長は職場の社員の前では常に機嫌が良い必要があるのです。
とはいえ、経営者にとって悩みはつきもの。
特に中小企業の経営者や後継社長には、
誰にも相談できない悩みをお持ちの方も多くいらっしゃると思います。
一人で悩むのが辛くて、同業者や、経営者仲間に上手くいっていないことを相談すると、「あそこの会社は経営が危ない!!」
なんて噂になりかねません。
また、同業者や経営者仲間に悩みを話しても、逆にやっかみや嫉妬をかうことも多々あります。
家族に相談しても、状況が分からず、しっかり聞いてくれない時もあります。社長は悩んでいる本音で相談できるところは少ないのです。
とはいえ、社内のスタッフに相談すると、心配を増長させて退職に繋がるかもしれません・・・。
また現場のスタッフに話すと、仕事の態度が緩んでしまったり、昇給を要求されることも。
家族も同じで、「家に持って帰ってくるお金を増やして」とお願いされることもしばしば・・・・。だったりする経験はありませんか?
つまり、社長には経営の悩みや本音を話したり、心から分かち合える人が意外に少ないのです。
結果、自分の中に溜め込んで仕事が楽しくなくなる社長も少なくありません。
もし、上手くいかない時、悩んでいる時に、本音で話せる人がいると、苦しみを分かち合い、痛みは半分になります。
そして、もし、喜びを共有できる人がいると、
一緒に喜びあって、共鳴して喜びは2倍になります。
だから経営者にとって、
心を許せる場、本音で話せる場は、とても大切な場所だと思います。
私はこれを家庭でもない、自宅でもない、
「第三の場所」と呼んでいます。
第三の場所があると、気持ちも楽になり経営が徐々に楽しくなるのです。
日報ステーションの事務所を会社でもない、自宅でもない、
経営者、ビジネスパーソンが本音になれる、第三の場所にして行きたいと思っています。
そして、経営者の皆さんにとって、
いつでも誰もが立ち寄ることができるステーション(駅)のような存在でありたい。
これが私たち、日報コンサルタント、
そして、日報ステーションの思いです。
実務が苦手で仕事の量が増えると、その仕事がさばききれるか不安になって、
作業のスピードが落ちたり、仕事が手に着かなくなるのですが・・・。
こんな相談がT社長よりありました。
これはよくある相談で、見えない恐怖に悩まされているだけなのです。
そんな時に私が行うのが、徹底的に仕事の見える化をするということです。
T社長は、現在プレイングマネジャーで、
スタッフや外注に依頼する仕事と、自分でやらなくてはいけない仕事に分かれています。
ですが、最近、自分でやらなくてはいけないサービスが増えていて、仕事が滞っている様子。
まずは、T社長が実際に行っている仕事内容をしっかりヒアリングします。
そして、それぞれのサービスの量と工程、最短の所要時間、価格を聞き、整理していきます。
サービスは、
しっかり時間をかけているサービスA、
まあまあ手間をかけるサービスB
ほとんど手間がかからないサービスC
スポット的な利用のサービスD
受注件数は、
サービスAの依頼が月間10件
サービスBの依頼が月間30件
サービスCの依頼が月間40件
サービスDの依頼が月間3件
所要時間は、
サービスAが10件×90分で900分(15時間)
サービスBが30件×60分で1,800分(30時間)
サービスCは月間のトータルで120分程度(2時間)
サービスDが3件×120分で360分(6時間)
このヒアリングによって、集中すれば、53時間でできるのです。
つまり、毎日8時間かければ7日間で終わることが分かったのです。
ただ一気に集中してできれば、この時間で終わるのかもしれませんが、いつもは、マルチタスクで、いろいろな仕事をしながらこのサービスを行うので、「今日は、1件しかできなかった。今月は、
残り40件もある。できるのか、どうか。」と心配になるのだと思います。
さらに、この不安で仕事に集中ができなくなり、作業効率が落ちてより不安になる。
これは、完全に負のスパイラルです。
これに陥らないように、月初に仕事量をエクセルシートでしっかり見える化してもらい、
日々の業務の中でどの時間帯に行うのか決めてもらいます。
例えば、納品業務が夕方以降、午前中でスタッフや外注先への仕事依頼をするので、
13時~17時の4時間で、
サービスAは目標4件
サービスBは目標2件
サービスCは目標2件
と入れていきます。
もちろん、3件連続で行って、本当に3時間で終わるのかは分かりませんが、予定にしてもらいます。
そこで、1週間行ってもらい、実際、どのくらい時間がかかるのか、
休憩は必要なのかを日報でチェックをしてもらい、見込み時間の修正をします。
もしできなかった場合は、実際にかかる時間を計算し直してスケジューリングし直せば良いので、
どちらにしても、T社長が路頭に迷うことは減ると思います。
つまり、闇雲に仕事をするのではなく、全体像を把握し計画性を持って仕事をすれば、
スッキリと集中できるので生産性は上がるということなのです。
自分の仕事量とキャパがどのくらいあるか、
正確に把握せずに不安を感じながら仕事をされている方は、
時間を作って仕事の見える化をしてみてください。
そうすることで、迷いが無くなって仕事の効率が上がり、把握にかけた時間以上の効果は出ると思います。
最近、クライアントと面談していて
「なかなか、うちのスタッフ、気づけないんですよね・・・」、
「言われたことだけしか行動しないんですよね・・・」、
「どうしたら良いのでしょうか?」という話をよく聞きます。
その答えは、
「お客さんを喜ばせよう!」だったり、
「仕事でもっと成果を出そう!」だったり、
「周りの人に喜んでもらおう!」という思いがないので、なかなか気づけない。
つまり、今の自分の行動から生まれる「結果」に
フォーカスできていないからです。
また、できる人の成果と自分の成果を客観的に比べないので、
自分がどのレベルかが分かっていない。
そう考えると、まずは、小さな課題を与えてそれを一つずつクリアしてもらって、
次はもう少し大きな課題を与える。
段階的に課題を乗り越えることで、成功体験を積んでもらうのです。
なので、まずは少し努力しないとクリアできない課題。
それをクリアしてもらって、更なる課題。
徐々に課題をレベルアップしてもらって、
自信と挑戦力をつけてもらうことを繰り返して行うことで、
「常に課題をクリアするという意識」と
「課題をクリアすることで達成感を味わうことでの執着=コミットメント」が自然と生まれて、
人は努力するようになるのです。
逆に、この2つの考えを植え付けないとなかなか努力する人になってもらえないでしょう。
結果に向かって努力する人でないと、なかなか気づける人にはなりません。
これを毎日続けると、あなたも「気づける人」になります。
私は、これまでの営業人生での学びから
『営業とは感動を伝えること』だと思っています。
お客様に 商品・サービスの良さ、そして、感動するポイントを伝えて欲しくさせること。
つまり、営業は「売る」のではなくて、「欲しくさせる」こと。
なので、自分が感動したポイントを、相手が理解して、
共感できるように話せるかがポイントとなります。
また、相手の年代や性別によって感動するポイントも変わるので、
自分目線で感動するポイントを何ヵ所も見つけ、
他者視点でも感動できるポイントを探す必要があります。
そのようにして、感動ポイントを自分なりにリストアップして、
それぞれの相手(営業先)が自社の商品やサービスの良さを理解できて、
共感できるように、話しを肉付けしたり、削ったりして、いいトークに仕上げていくのです。
だからこそ、営業に一番大切なのは、下準備=トーク台本の用意。
お客様が欲しくなるトーク台本を何個も持っていないと誰も欲しくならないので、
せっかく営業をしても、誰一人として買ってくれないのでしょう。
しかし、この下準備をしておけば、少々トークが下手でも、
反論の処理の仕方が分からなくても、契約は決まったりします。
なので、まずは商品・サービスの感動ポイントを何ヵ所も見つけて、この感動ポイントを相手が理解できるように、共感できるように話せるか。
これが、中司流の営業の基礎中の基礎です。
クライアントに苦手なことを実践してもらう難しさ
これは、私たち日報コンサルタントが日々のコンサルティングで常に感じていることです。
大手企業だと、適材適所で、
営業が得意な人は、営業部。
経理が得意な人は、経理部。
企画が得意な人は、企画部。
マニュアル作りが得意な人は、経営企画部。
などといったように、自分に合った部署を希望することができます。
しかし、中小企業の経営者はマルチタスクで、足らない役割は自分でやらないといけません。
営業が苦手でも、営業をする必要があれば営業をしなくてはいけませんし、
販促が苦手でも、販促を勉強して自社の販促方法を考え、実践しないといけません。
得意な人を雇用できるまでは、自分で行わなくてはならない。
自分が行ったことのないことや苦手なことでも、自分で行わなくてはならないのです。
しかし、行わなくてはならないと思っても、苦手な事はなかなか行えないのが人間です。
「得意な人を雇用する予算がなく、とりあえず自分で行って、売上を作って得意な人を雇用する」
とは頭では分かっていても、ついつい感情が邪魔をしてできないのです。
コンサルタント側の視点から言えば、
これが「クライアントに苦手なことを実践してもらう難しさ」ということになります。
そこで必要なのが、自分のビジョンとドリーム。
表現を変えると、願望です。
こうなりたい。
ああなりたい。
この思いで、苦手なことを乗り越えてもらいたいのです。
なので、1年後・3年後・5年後、会社をどうしたいのか、
自分自身どうなりたいのかを書き出したり、叶えたい事を100個など、
書いてもらったりします。
そして、これを忘れないように日報ファイルの1ページ目に入れてもらいます。
そして、過去、自分自身がどんな苦手なことをどのように乗り越えて、
その後、どのような結果が出たのか、
この自分ストーリーをしっかり語ることも大切なのです。
先日の研修でも、苦手な執筆に挑戦した時に体重が30kg近く増え、
その当時の大変さを話し、107kgになった時の写真を見せた時が、
一番皆さんの反応が良かったです。
つまり、このような私自身が経験した
「過去に苦手なことを克服した具体的なストーリー」をいくつか聞いてもらい、
クライアントにも、「自分も苦手な事に挑戦しよう」、
「まずはやってみよう」と思ってもらうのです。
そうやって、まずやってみようの精神で、苦手なことを実践すると、
「意外と大変ではなかった」、「やってみると、成果がすぐ出た」
そして、「苦手なことを克服できたから、自信に繋がった」
などといった前向きな声をよく聞きます。
むしろ、それまでになかったスキルや知識が身についたり、
新しい世界が広がったりするのです。
つまり、最初は大変だったとしても、苦手なことに挑戦して損はないのです。
もちろん、苦手なことを依頼できる人がいれば依頼しても良いのですが、
あえて、「まずは自分でやってみる」という選択肢を選ぶことも重要です。
そして自分でどうしても行わなくてはならない時は、
苦手なことには全力で挑戦するのです。
そうすることで、その先に必ず新しい道が開けるでしょう。